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メディアの権力〈4〉 (朝日文庫)

, デイヴィッド ハルバースタム

によって デイヴィッド ハルバースタム
4.7 5つ星のうち 3 人の読者
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内容(「BOOK」データベースより) 巨大化し「第四の権力」となったメディアを、大統領は攻撃する。映像と活字、新聞同士の報道競争が激しさを増すなか、ウォーターゲート事件をめぐり、メディアはついにホワイトハウスと全面対決する。その後の四大メディアはいかなる道をたどるのか。
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デビッド・ハルバースタム「メディアの権力1」を読みました。全3巻の一冊目です。ノンフィクションですが、まるで司馬遼太郎の小説を読むような面白さです。アメリカの巨大メディアが草創期から一大産業となり、社会的な影響力を振るうまでを描いています。取り上げるのは4つの巨大メディアです。CBS、タイム、ロスアンジェエルス・タイムズ、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズです。例によってハルバースタムは、マスメディアの巨人たちの人間的な側面の数々のエピソードを混じえて、迫力ある本に仕上げています。ラジオ放送界をつくり、テレビを大統領選挙に影響を与える最大の手段にしたCBSを創ったのはロシア系ユダヤ人の移民を父に持つビル・ペイリーです。ラジオやテレビの影響力の大きさとその価値にいち早く気付き、売れる番組を次々に作り、広告収入で莫大な収益を得ましたが、飽くなき事業欲で、規模の拡大に取り組みました。彼にとっては視聴率が権力のバロメーターでした。タイムを始め写真誌ライフ、フォーチュン、スポーツ・イラストレイテッドを作ったのはハリー・ルースでした。中国で宣教師の子供として生を受けたルースは、アメリカの理念の権化で、共産主義を自由主義・民主主義の敵とみなしていました。一貫して蒋介石を支持し、援助していました。このためアメリカ人に歪んだ中国像を提供し続けました。社主で経営者ですが、編集責任者の立場を手放すことはありませんでした。彼にとっては、出版はアメリカ主義を普及させる手段でした。ロスアンジェルス・タイムズを創ったハリー・チャンドラーは、南カルフォニアを築いた巨人。ロスは、かってのロスは見るべきもののない退屈な田舎町でしたが、チャンドラーは、道路、鉄道、水道、港湾を開き、社会インフラを整備し、人口を流入させて増やし、文字通り南カルフォニアを開拓し、ロスアンジェルスをつくりました。映画「チャイナタウン」でジョン・ヒューストン演じるロスの実力者の話は、映画以上の実話と知りました。自分たち一族の街ですから、逆らうものには容赦がありません。新聞の労働争議では、死者20人を出し、裁判は最高裁まで行きました。政治的にはキングメーカーで共和党の大統領候補を決め、州議会の立法を牛耳ました。どの法案に署名すべきか知事に指示しました。ニクソンを大統領に仕立てあげたフィクサーでありスポンサーでした。ワシントン・ポストを作ったフィル・グレアムは、弱小新聞だったポスト紙を尊敬に値するクオリティーペーパーにすべく報道より論説を重視しました。ワシントン・ポストは、徐々に信頼・名声を気づきあげて行きました。社会正義に基づき政府からの様々な圧力に屈することなく論陣を張り主張すべきを主張しました。赤狩りのマッカーシーを追い詰めたのはポスト紙でした。ニューヨーク・タイムズを作ったアドルフ・オークスはドイツ系ユダヤ人を父に持つ立志伝中の苦労人です。移民の常としてアメリカに根を下ろすために努力を惜しまない愛国者でした。オークスは、記者に存分に活躍させ、社主や編集デスクより、権限権力が現場の記者にある社風をつくりました。海外特派員育成に力を入れ、広い視野と正確な報道で信頼を得て、20世紀で最も権威のある新聞であるとの評判を世界中から得ました。4人に共通するのは、とてつもなくエネルギッシュ、才気煥発、独創性、飽くなき事業欲の持ち主で、勇猛果敢に原野を切り開くフロンティアスピリットの権化のようです。いずれも個人的な物欲はなく、禁欲、勤勉、公徳心、宗教心に富んでいます。第二巻が楽しみです。

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