sweet pool＜未収録ショート付＞【イラスト入り】 (ビーボーイノベルズ)

ほぼ哲雄の視点一本に絞られた内容で説明役がいません。原作をやっていないとついていけない部分が多々あります。しかしゲームの補完本としては、とても良い作品だと思います。ページ数の割りに読みやすく、誤植も気付いたのは一箇所位でした。作中では「なに考えてるか分からない、怖い」と言われていた城沼哲雄、その思考は思っていた以上に普通の高校生でした。少し驚きましたが、しかし違和感は感じさせない良い塩梅です。無表情な彼も胸中ではずっと蓉司の事を気にかけて、ああでもないこうでもないと焦っていたんだなぁと・・・読んでいて何だか微笑ましかったですｗ蓉司の視点が入らないせいかホラー要素も大幅カットで、全体的に甘い空気の漂う作品でした。イラストはゲームと比べてオニツカさんの絵柄がかなり変わっています。蓉司は儚さUPで美しく、哲雄が年相応にイケメンさんだったので個人的にはよかったのですが・・・ゲームの絵柄が好きな方には物足りなく映るかもですね；原作は色の効果もあってか濃厚で迫力がありましたが、こちらの挿絵はさっぱりとした、静かで綺麗なモノクロ絵でした。（濡れ場の挿絵もどれも「見せない構図」だったので尚更静かな印象です。エロイというより綺麗。）買うか迷っている人に注意点を。睦は後半の大きなイベントすらカットゆえに、空気です。上屋先生のほうが目立ってました。哲雄関連でもちょっとした会話やイベントが飛ばされてたり統合されていたりしてます。プレイ済みの人によっては「アレ？」と感じる部分があるかも。（大事な部分は押さえられていますし、逆にゲームで詳しく語られなかった出来事も入っているので自分は気になりませんでしたが^^;）あとネタバレなのですが、この小説の結末は「哲雄エンド１（純成END）」です。漫画版とはあえて終わりを変えたのだそうで・・・なので、同居エンドの二人の生活描写や、グランドエンドの後日談を期待した方は肩透かしを食らってしまうでしょう。一番最後の部分は本当に原作内容そのままなので、個人的にそこがひっかかりました。どうせなら純成や事件の顛末については本当にサラっと触れるくらいで、とことんまで哲雄視点にしてほしかったなぁと。余ったページでカットされたイベントを入れ、それで「原作プレイ済みの人に向けた補完本」と前面に押してくれていれば文句無しでした。（ノベライズとしてそれは駄目なんでしょうかねぇ；）そこだけ気になったので☆４ですが、買ってよかったと思える一冊でした。哲雄さん可愛いです。哲雄×蓉司好きな方には是非読んでみてほしい作品です。